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再生ボタンの二等辺三角形はなぜ右に倒れたのか?たぶんこうだったんじゃないか劇場

再生ボタンはなぜ右向きなのか:デザインと文化の交差点


今私たちが日常的に目にする動画のサムネイルには、必ず二等辺三角形が右に倒れて置かれています。ポチッとクリックすると動画の再生が始まる「再生ボタン」です。

その右向きの三角形は、私たちに「再生」という行為を直感的に伝えています。しかし、なぜ再生ボタンは右向きなのでしょうか?

その起源を探ると、技術、デザイン、そしてさまざまな文化が影響していることがわかります



技術的制約と初期の機器設計


再生ボタンの起源は、初期の映画映写機やテープレコーダーに遡ります。これらの機器では、再生、早送り、巻き戻しなどの操作を、矢印や三角形などの記号で表現していました。特にテープレコーダーでは、テープが左から右へと巻き取られる構造上、右向きの三角形が「再生」を示す記号として採用されました。

テープレコーダーのテープが左から右へと巻き取られるのは、磁気ヘッドの位置やモーターの回転方向といった技術的な制約が大きく影響しています。初期の機器設計において、左側のリールからテープが供給され、右側のリールに巻き取られるように配置するのが、技術的に都合が良かったのです。また、初期のオープンリール式テープレコーダーの設計思想も、この流れに影響を与えたと考えられます。


オープンリールテープデッキ
オープンリール


デザインの標準化と視覚的伝達


ビデオデッキやCDプレーヤーの登場により、再生ボタンの形状はさらに一般化しました。これらの機器では、統一された操作体系が求められたため、再生、停止、早送り、巻き戻しなどの記号が標準化されました。この過程で、右向きの三角形が再生ボタンとして定着し、広く普及しました。

右向きの三角形は、視覚的にも「進行」「次へ」「再生」といった意味を直感的に伝えます。時間軸や進行方向が左から右へと進むという一般的な認識に基づき、右向きの矢印は「進行」を象徴する記号として広く受け入れられました。また、二等辺三角形の頂点を右に置くことで、視覚的に安定したデザインとなり、ユーザーに安心感を与えます。



文化的な解釈と普遍性


さらに、多くの文化圏では、時間軸を左から右へと表現します(←ここは怪しい)。これは、文字を読む方向や、物語の進行方向などにも影響を与えています。右向きの三角形は、右方向に進む動作を連想させ、再生や進行といった動作と結びつきやすいと考えられます。

近年では、ユーザーインターフェースデザインの標準化が進み、再生ボタンの形状も統一される傾向にあります。これにより、ユーザーは機器やソフトウェアが変わっても、迷うことなく操作できるようになりました。



結論:再生ボタンの普遍性


再生ボタンの右向きの三角形は、技術、デザイン、そして文化によって生まれた普遍的な記号です。初期の機器設計における技術的な制約、視覚的な伝達を追求したデザイン、そして文化的な解釈が融合し、現在の形に定着しました。

インターネットの普及により、動画配信サービスやオンラインメディアプレーヤーが一般化し、再生ボタンの形状はさらに広く認識されるようになりました。今後も、再生ボタンの右向きの三角形は、私たちの生活の中で、メディア再生の象徴として存在し続けるでしょう。

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