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今のインターネットの仕組みは人を幸せにしますか?

1980年代、インターネットの勃興期には、インターネットを広告媒体として価値を高める模索が続く中で、市場占有率に勝利した検索エンジンのブラウザが、ユーザー個人の嗜好に合わせた記事や見出しを表示することで、リアクション率を高める手法を編み出しました。その手法は瞬く間に広がり、インターネット社会は「数を集めた者が勝利者」という競争思想が席巻。それに勝利した少数のメガテック企業が世界を支配する状況を生みました。

この「世界を支配する仕組み」を、「パーソナライズ」「認知バイアス」「フィルターバブル」「エコーチェンー」「確証バイアス」というキーワードで辿ってみます。


パーソナライズ
究極の



パーソナライズによる認知バイアスの誘発


  • 現代のインターネット環境では、検索エンジン、SNS、動画配信サイトなど、様々なプラットフォームがパーソナライズ機能を導入しています。これは、ユーザーの過去の行動履歴、興味関心、属性情報などを分析し、個々のユーザーに最適化された情報やコンテンツを提供する仕組みです。


  • パーソナライズは、ユーザーにとって有益な情報に効率的にアクセスできるというメリットをもたらしますが、同時に認知バイアスを誘発する可能性も秘めています。なぜなら、パーソナライズされた情報は、ユーザーの既存の信念や興味関心に合致する傾向があり、それによってユーザーは自分の考えを肯定する情報にばかり触れることになるからです。


  • 例えば、ある政治的主張に関心を持つユーザーは、その主張を支持する情報ばかりがパーソナライズされた結果として表示されることがあります。その結果、ユーザーは自分の考えが正しいと確信するようになり、反対意見に触れる機会を失ってしまいます。




フィルターバブルとエコーチェンバーによる確証バイアスの増強


パーソナライズによって誘発された認知バイアスは、フィルターバブルとエコーチェンバーという現象によってさらに増強されます。


フィルターバブル


  • フィルターバブルとは、パーソナライズされた情報環境によって、ユーザーが自分の見たい情報だけに囲まれ、あたかも泡の中に閉じこもったように、外部の情報から遮断された状態を指します。

  • フィルターバブルの中で、ユーザーは自分の信念を裏付ける情報にばかり触れ、反対意見や異なる視点に触れる機会を失います。その結果、ユーザーは自分の考えが絶対的に正しいと確信するようになり、確証バイアスが強化されます。



エコーチェンバー


  • エコーチェンバーとは、同じ意見を持つ人々が集まるオンラインコミュニティやグループのことです。エコーチェンバーの中では、参加者は互いの意見を肯定し合い、反対意見を排除する傾向があります。

  • エコーチェンバーに閉じこもると、ユーザーは自分の意見が社会全体の意見であるかのように錯覚し、反対意見を異質なものとして認識するようになります。その結果、ユーザーは自分の信念をより強固に持ち、確証バイアスがさらに増強されます。




確証バイアスの悪循環


パーソナライズ、フィルターバブル、エコーチェンバーは、確証バイアスの悪循環を生み出します。ユーザーは、パーソナライズされた情報によって自分の信念を強化し、フィルターバブルとエコーチェンバーの中でさらに確証バイアスを増幅させます。その結果、ユーザーは自分の信念に固執し、客観的な視点や批判的思考を失ってしいます。

この悪循環は、社会の分断や偏見の助長など、様々な問題を引き起こす可能性があります。



責任の行方


これらの仕組みが、人間の幸福に寄与するものでしょうか。一部のメガテック企業が巨万の富を築いている一方で、社会や世界の分断、過激化が加速しています。

果たしてこの「数を集めた者が勝利者」という仕組みがもたらす結果は、ユーザーが負うべき責任なのでしょうか?

この難解な仕組みの理解を、メディアリテラシー教育が解決するでしょうか?

私は、今すぐこの仕組み自体を見直すべきだと考えます。

急速に利用拡大が進む生成AIが、人間の知能をスポイルしてしまう前に。

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