動画・映像制作用語
【ドリーズーム】
dollyzoom
「ドリーズーム」は、ビデオカメラのレンズをズームしながら、ドリーすることで被写体を一定の大きさに保ちながら、背景だけを変化させる撮影方法です。
被写体はほとんど動かないのに、背景だけが連続的に変化することで、被写体が飛んで行ったり、近づいてきたりしているような錯覚を生じさせる映像表現ができます。
撮影方法
ドリーズームは、以下の2つの動きを同時に行うことで実現します。
カメラのズーム操作: レンズの焦点距離を変化させ、画角を狭めたり広げたりします。
カメラのドリーイン/アウト: カメラ自体を被写体に対して前後に移動させます。
ドリーズームではズーム操作とドリー操作を逆方向に同時に行います。例えば、①ズームイン(画角を狭める)しながらドリーバック(カメラを後ろに引く)する、あるいは②ズームアウト(画角を広げる)しながらドリーイン(カメラを前に進める)といった具合です。
映像効果
①の場合、被写体は動いていないのに、被写体が迫ってくるように見える。
②に場合、被写体は動いていないのに、被写体が遠ざかっていくように見える。
被写体が人物であれば、視聴者に対して、その人の内面(精神)が急激に影響を受けているような印象を与えることができます。
心理的圧迫感
背景が迫りくるような映像により、被写体の心理的な圧迫感を表現することができます。
不安感や混乱
背景の歪みにより、観る人に不安感や混乱を与えることができます。
異世界感
現実世界とは異なる、非日常的な空間を作り出すことができます。
【関連用語】
ドリー撮影を実現するために使用される主な道具は以下の通りです。
1. ドリー (Dolly)
カメラを乗せてスムーズに移動させるための車輪付きのプラットフォームです。
様々なサイズや種類があり、撮影内容や規模に合わせて選択されます。
鉄道のレールのようなものを使用し、より正確で滑らかな移動を可能にする場合もあります。
2. ドリーレール (Dolly Track)
ドリーをスムーズに走らせるために敷かれるレールです。
直線レールだけでなく、カーブを描くレールもあります。
ドリーの移動距離や撮影アングルに合わせて、必要な長さを設置します。
3. クレーン (Crane)
カメラを高い位置に持ち上げたり、上下に移動させたりするための機材です。
ドリーに取り付けて使用する場合もあります。
俯瞰撮影や、ダイナミックなカメラワークを実現するのに役立ちます。
4. ジンバル (Gimbal)
カメラを安定させるための装置です。
手持ち撮影や、動きのある撮影でも、ブレを軽減することができます。
ドリーと組み合わせて使用することで、よりスムーズで安定した映像を撮影できます。
5. ドローン
被写体に対して直線的な移動撮影をした素材に対して、編集時にエフェクトによるズームイン、ズームアウトを使用して被写体の大きさを一定にすると、ドリーズーム同様の効果が得られます。