動画・映像制作用語
【プレスコ】
prescoring
プレスコとは、まず音声を収録し、その後でそれに合わせて映像を制作していく手法で、「アフレコ」の逆の工程を踏みます。
プレスコ(プレ・スコアリング/ Pre-scoring)は、主にアニメーション制作で使用される手法で、映像を作る前に先に声の収録を行う方式です。プレスコの大きな利点は、声優が自由に演技できることで、感情の起伏や間の取り方を自然に表現できるため、より生き生きとした演技が可能になります。
具体的な工程は以下
まず声優が台本に基づいて演技を収録します。この際、アニメーションはまだ存在していません。
収録された音声データをもとに、キャラクターの口パクや動きのタイミングを決めていきます。これにより、キャラクターの動きを音声に完璧に同期させることができます。
アニメーターは、この音声に合わせて絵コンテやレイアウトを作成し、実際のアニメーション作業を進めていきます。
これは通常の実写映画での「アフレコ」(アフター・レコーディング)と対照的な手法です。アフレコは映像が完成してから声を録音しますが、プレスコは逆の工程を取ります。
プレスコの利点
声優の演技の自然なリズムやテンポに合わせてアニメーションを作れる
キャラクターの感情表現をより豊かに映像化できる
音声と映像の同期が取りやすい
一方で、プレスコには以下のような課題もあります
制作工程が複雑になる
後から音声を修正することが難しい
より綿密な事前計画が必要
日本のアニメーション業界では、スケジュールの都合や制作効率の観点から、一般的にアフレコ方式が採用されることが多いですが、特に表現の精度を重視する作品ではプレスコが選ばれることもあります。
モーショングラフィック/インフォグラフィック動画もプレスコが最適
近年定番化したビジネス映像における二次元アニメーション手法は、ナレーションや声優の声のタイミングとモーションが、フレーム単位での同期を求められるため、喋りを先に録音して、映像はその声に合わせて作成していくプレスコ手法のほうが、作画工程、モーション工程に無駄がなく、期間が短縮できます。
もっとも、現在では生成AIによるナレーションも精度が高いため、生成AIの音声に合わせて映像を完成させたのち、あらためて人間の声で吹き替える(アテレコ)という方法も定着しています。
【関連用語】
1. アフレコ
映像の撮影や作成を先に行い、その後から音声を収録する手法です。主に映画、アニメーション、ドラマなどの映像作品で広く使用されています。
2. アテレコ
アフレコの中でも特に既存のキャラクターや登場人物など「自分以外」の動きに対して、声を当てていく手法です。「当てる」という日本語が語源となっています。
3. 吹き替え
吹き替えとは、主に海外の映画やドラマなど、外国語で制作された映像作品において、元の言語のセリフを、別の言語(日本語など)に置き換えて音声部分をすべて入れ替える作業、あるいはそうしてできた版のことです。
4. MA
撮影現場での収録音(セリフや環境音)、効果音、音楽(BGM)、ナレーションなど、様々な要素で構成されている映像作品の音声要素を最適なバランスで調整し、一つの完成された音響空間を作り出しすスタジオ作業です。
5. SE
SE(Sound Effect)とは、効果音のことで、映像に臨場感やリアリティを与えるために使用されます。