動画・映像制作用語
【QuickTime】
QuickTime
「QuickTime(クイックタイム)」は、Appleが開発したマルチメディア技術の名称で、動画や音声などのマルチメディアデータを扱うための基盤技術のひとつです。
1. QuickTimeファイルフォーマットである .movはコンテナフォーマットのひとつです。
▶︎コンテナフォーマットとは
データの統合
動画ファイルは、映像データと音声データ、場合によっては字幕やメタデータなど、複数のデータから構成されています。コンテナフォーマットは、これらのデータを1つのファイルにまとめて管理します。
データの同期
映像と音声がずれてしまうと、動画として正しく再生できません。コンテナフォーマットは、これらのデータを同期させ、正確な再生を可能にします。
互換性の確保
コンテナフォーマットによって、対応する再生環境やソフトウェアが異なります。適切なコンテナフォーマットを選択することで、様々な環境で動画を再生できます。
▶︎代表的なコンテナフォーマット
MP4 (.mp4)
汎用性が高く、多くのデバイスやソフトウェアで利用できます。インターネット動画配信などで広く使われています。
AVI (.avi)
Windowsで広く使われてきた古いコンテナフォーマットです。様々なコーデックに対応できますが、ファイルサイズが大きくなりがちです。
MOV (.mov)
AppleのQuickTimeで使われるコンテナフォーマットです。主にMac環境やプロの映像制作で利用されます。
MKV (.mkv)
様々なコーデックや字幕、音声トラックなどを柔軟に格納できるコンテナフォーマットです。高画質の動画ファイルなどで利用されます。
▶︎コンテナフォーマットとコーデックの違い
コンテナフォーマット
データを格納する「入れ物」
コーデック
データを圧縮・展開する「技術」
2. QuickTimeにならぶ他社のマルチメディア技術
▶︎Windows Media Foundation (マイクロソフト)
Windowsオペレーティングシステムに組み込まれたマルチメディアフレームワークです。様々なメディア形式の再生、録画、編集をサポートします。Windows Media Playerなどで利用されています。
▶︎DirectShow (マイクロソフト)
Windowsで以前使用されていたマルチメディアフレームワークで、Windows Media Foundationに置き換えられつつあります。柔軟なアーキテクチャを持ち、様々なメディア処理に対応できます。
▶︎VLC media player (VideoLAN)
オープンソースのクロスプラットフォームメディアプレーヤーです。非常に多くのメディア形式に対応し、無料で利用できます。多くのプラットフォームで利用されており、QuickTimeの代替として使用されることが多いです。
▶︎FFmpeg
オープンソースのマルチメディアフレームワークです。動画や音声のエンコード、デコード、変換など、幅広い機能を提供します。多くのメディアプレーヤーや動画編集ソフトウェアで利用されています。
3. QuickTime Player
macOSに標準搭載されているメディアプレーヤーソフトウェアです。動画や音声ファイルの再生、画面収録、簡単な編集などの機能があります。対応するファイル形式は、MOV、MP4、M4Vなど多岐にわたります。
【関連用語】
1. MXF(Material Exchange Format)
放送業界で標準的に使用されているコンテナフォーマットです。高画質・高音質の映像を扱うために適しており、メタデータやタイムコードなどの情報も豊富に格納できます。ソニー、キヤノン、パナソニックなどのプロ用カメラで記録されることも多く、編集やアーカイブにも利用されます。
2. MP4(MPEG-4 Part 14)
汎用性が高く、様々なデバイスやソフトウェアで利用できるため、業務の現場でも使われています。インターネット動画配信やデジタルシネマなど、幅広い用途に対応できます。H.264やH.265などの高効率なコーデックと組み合わせることで、高画質・低ファイルサイズを実現できます。
3. MKV(Matroska Video)
複数の動画や音声、字幕などを柔軟に格納できるコンテナフォーマットです。高画質の動画ファイルや、複数の音声トラックや字幕を必要とする場合に適しています。編集にも適しており、プロの映像制作現場でも利用されています。