動画・映像制作用語
【スチール】
still
「スチール」とは、映像(ムービー)の対語として、ムービー業界でのみ使われる「写真」ないしは「写真カメラマン」を意味する呼び名です。
劇場映画、テレビ番組のプロモーション目的だけでなく、我々企業映像においても、新商品のリリースに際して行われるPR映像やCMのムービー収録では、せっかくの撮影機会(商品の準備だけでなく、さまざまな調達物や社内調整が必要であるため)なので、この機会に写真素材の撮影も行うことが多々あります。
写真カメラマンとムービーカメラマンは、特に照明の使い方に異なる発想があるため、ムービー撮影の香盤表の「合間にちゃちゃっと」という訳にはいかず、写真撮影が押して制作進行に影響が出ることがありました。スチール撮影が入ることを、代理店やクライアントから直前に知らされる例もあるため、ムービー撮影班から見ると両手を挙げて歓迎するものではない・・・と考えられてきました。しかし今日では照明の機能も向上し、スチールカメラマンが実はムービーも回すことが多くなりましたので、そうした軋轢は無くなりました。たぶん。
以前分譲マンションのPRビデオ撮影を、実際に完成したばかりマンションの一室で行った際、私たちが昼休みの間に広告代理店手配の写真撮影が行われ、新品の床に傷をつけてしまいました。
我々は三脚の脚にテニスボールを嵌めるなどして、細心の注意をしていたのですが、スチール班はそうした配慮をしていませんでした。そして、傷をつけたことを黙っていたのでした。それを我々のミスであると断定的に責めれられた経験があります。
ムービーと写真を同時に撮影する場合、殆どの場合、タレントや衣装、スタイリスト、撮影小物の準備、香盤表の作成など、撮影準備はすべてムービー側の手配で行います。現場の相乗り調整はしっかりやりたいものです。
【関連用語】
1. 宣伝材料
主にエンターテインメント業界やメディア業界で使用される用語で、楽曲や番組のプロモーションに使用するプレスリリースなどの、情報やデータのことを言います。
2. プレスリリース
宣伝材料のうち、書面にした情報のことを言います。企業や団体が報道機関に向けて、ニュース性のある情報を公式に発表するための文書です。記者やメディア関係者に配布され、テレビやラジオ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどのメディアに取り上げられることを期待して作成されます。
3. 切り出し
動画ファイルから1場面を静止画として、あるいは1シーンを動画として抜き出すことを指します。
4. キャプチャー
映像データを、コンピュータに取り込むことをキャプチャーと言いますが、1場面を静止画で書き出すことも「この場面キャプチャーして」という言い方をすることがあります。
5. スティル
リニア編集において、再生中にテープが再生ヘッドにあたっている状態でpauseボタン、ないしはジョグダイヤルでテープ回転を停止させると、モニターにはその時点での静止画が表示されました。この状態をスティルと呼びました。