動画・映像制作用語
【ビデオ】
video
「ビデオ(video)」は、動きのある映像と音声を記録、再生、伝送するための技術、またはその技術を用いて制作された映像コンテンツを指します。
ビデオ(video)は、ラテン語の「videre(見る)」に由来し、「見えるもの」「視覚的な表現」といった意味があります。20世紀前半、映像と音声を電気的に記録する方法はなく、テレビ放送は生放送で行われていました。したがって放送番組を記録するのは映画のようにフィルム撮影するしかなく、再放送するにはそのフィルムをスクリーンに投影しながらカメラで映し、生放送していました。
1. VTRの発明
1950年代にビデオテープによる映像記録技術が開発され、「ビデオ」という言葉が電気信号による映像記録技術を指す言葉として、専門的な分野で使われ始め、1956年にアンペックス社がビデオテープレコーダー(VTR)を開発したことが、映像記録技術の大きな転換点となり、「ビデオ」という言葉が広く使われるようになりました。
2. 家庭用VTRの普及で「ビデオ」は映像コンテンツの代名詞に
1970年代後半から1980年代にかけて、家庭用ビデオテープの規格「VHS」と「βmax」が激しい覇権を争いながらが爆発的に普及し始めると、ビデオテープを使った映画ソフトのレンタルや販売も始まり、さらにビデオカメラの普及によって、ビデオカセットに記録された映像ソフトそのものを「ビデオ」と呼ぶことが一般的になりました。
3. ビデオ技術のデジタル化
1995年、東芝や松下電器産業(現パナソニック)、ソニー、フィリップスなどがDVDの規格を策定し、1996年、DVDプレーヤーやDVDビデオソフトの発売開始。2000年代に入ると、DVDプレーヤーの価格が下がり、DVDビデオソフトのラインナップも充実したことから、DVDビデオが急速に普及しました。それまで主流だったVHSビデオテープに代わり、DVDビデオが映像メディアの主流となりましたが、この頃のデジタル映像技術は、まだ高性能なコンピュータや専門的なアプリケーションを持つプロフェッショナルしか扱えませんでした。
4. インターネットの高速化によりデジタルファイルとしての認識に移行
21世紀に入り、インターネットの普及と高速化とともに、YouTubeなどの動画共有サイトが登場し、誰もが手軽に映像ソフトを制作・公開できるようになりました。映像データを手軽に編集できる民生用アプリケーションの普及もあり、映像ソフトはビデオカセットやDVD盤のようなカタチを持ったものから、「動画ファイル」として認識されるようになりました。
5. SNSの拡大とショート動画の爆発的ヒット
2020年代に入ると、スマートフォンのカメラ機能が高度化、動画投稿サイトの投稿スタイルに「ショート動画」が採用され、TikTokが爆発的にヒット。
従来「動画」という呼び名に抵抗を示していたテレビ業界でも、番組内で「動画」と呼んで放送することが当たり前になった様子を見ると、日本における映像ソフトの代名詞は「動画」で決着がついたかたちです。しかし、私は「動画」という用語は、日本独自のニュアンスを持った言葉のように感じます。
6. 今も生きている「ビデオ」
「ビデオ」は、もともと映像信号を扱うための技術用語として使われていたものです。ビデオという言葉は今も生きています。
7. 英語圏における映像ソフトの代名詞
1. Video
使用頻度: 高い
ニュアンス:最も一般的な言葉であり、幅広い映像コンテンツを指します。
オンラインビデオ、ミュージックビデオ、ビデオクリップなど、様々な文脈で使用されます。
技術的な意味合いも持ちます(ビデオカメラ、ビデオ編集など)。
2. Movie
使用頻度: 中程度
ニュアンス:主に映画や長編の映像作品を指します。
劇場で上映されるような作品を連想させることが多いです。
3. Film
使用頻度: 中程度
ニュアンス:映画、特に芸術的な作品や古い映画を指すことが多いです。
映画制作の技術や業界を指す場合もあります。
4. Footage
使用頻度: 中程度
ニュアンス:記録された映像、特にニュース映像やドキュメンタリー映像を指します。
生の映像素材という意味合いが強いです。
5. Clip
使用頻度: 高い
ニュアンス:短い映像の一部分を指します。
ハイライトシーン、抜粋、短い動画などを意味します。
オンラインビデオの文脈でよく使われます。
使用頻度の割合
一般的な印象としては以下のようになります。
Video: 非常に高い
Clip: 高い
Movie: 中程度
Film: 中程度
Footage: 中程度
補足
これらの言葉は、文脈によって使い分けられます。
インターネットの普及により、「video」や「clip」の使用頻度が特に高くなっています。
「film」は、映画の文脈でよく使われます。
【関連用語】
1. VHS
Video Home Systemの略称で、1976年に日本ビクター(現JVCケンウッド)が開発した家庭用ビデオテープの規格です。ベータマックスとの規格競争に勝利し、家庭用ビデオの主流となりました。長時間録画が可能で、レンタルビデオ市場の発展にも貢献しましたが、2016年7月末に、船井電機がVHSビデオテープレコーダーの生産を終了しました。これが、一般的にVHSビデオデッキの販売終了とされています。現在では再生できるビデオデッキが老朽化してきたため「VHSテープの2025年問題」として話題になっています。
2. βmax(ベータマックス)
1975年にソニーが開発した家庭用ビデオテープの規格です。VHSよりも高画質でしたが、規格競争に敗れました。一部の映像制作現場では、業務用機器として使用されました。VHSと同様に現在はほとんど使用されていません。
3. DVD-Video
1990年代後半に登場し、それまで主流だったVHSビデオテープに代わり、映像メディアの主流となりました。DVDビデオは、赤いレーザー光を使用してデータを記録し、片面1層で4.7GB、片面2層で8.5GBのデータを記録できます。画質は標準画質(SD)で、解像度は720×480ピクセル程度です。
4. BDMV(Blu-ray Disc Movie/BD-Video)
2000年代に開発され、DVDビデオよりも大容量、高画質、高音質の映像を記録・再生できます。ブルーレイビデオは、青紫色レーザー光を使用してデータを記録し、片面1層で25GB、片面2層で50GBのデータを記録できます。画質は高画質(FHD)に対応しており、画素数はDVDビデオコンテンツが35万画素に対し、ブルーレイコンテンツは207万画素と約6倍です。
5. VP
ビデオプロジェクターの略語でもありますが、映像ソフトにおいてはビデオパッケージの略語です。企業や団体が企画制作し、映画館、テレビ番組、CM放送枠などで放映しない映像コンテンツ全般のことを指します。1980年代にENGスタイルの普及で、映像制作技術が広く普及し始め、それまで映画館やテレビで見ていた映像コンテンツの力を、企業活動や行政、団体などの広報活動に利用できることを、プロダクションが企業などにアピールして制作しました。映画制作や番組制作の傍で、映像制作会社の収入源のひとつになりました。今日のビジネス動画の原点です。